現代英語の文法を探求する

英語学とその隣接領域に関する見解を個人の立場で記述しています。

グラフから見える新型コロナウイルス第三波の拡大状況(5)

  1. はじめに

 グラフの情報を基に,放物線を使って,発生を近似予測すると,日本は波状攻撃を受けています。何度となく下りカーブが出現するのですが,その度に,高さが前とほぼ等しい波が打ち出されます。昨年12月も下旬に入ると,以前と違って,今度は,グラフに予兆がまったく見られない高い波が現れるようになります。

 それでも日本は修復基調にあるのか,それとも,その網を突き破る勢いの強い波が現れたのか,2つの可能性に的を絞って予測したのが前回のブログの(1)の波形です(参考までに以下に再掲します)。

 

(1)

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  1月14日~1月16日の数値は,予測よりかなり低いものでした。過去の経験に照らして考えると,数値が十分に上がりきらない「足踏み」状態が続く場合,一週間~二週間後に再び,別の波の上昇カーブが現れます。

   波状攻撃を受けていても,高い山の高さがほぼ等しい場合には,低い山は一定のカーブを描きます。前回の予測では,1月18日付近は4,000人でピークに達しますが,この結果がどうなるのかも一つの指標になるでしょう。

   現時点では,一週間後の数値を見て,1月7日~1月9日の数値が,一種の巨大波(ピークが3,200×(2+α)),7,200の波(800×32),9,600の波(3,200+6,400 or 800×12),その他,のどの波の一部なのか,様子を見守りたいと思います。

 

  1. 爆発的な感染拡大?

 専門家会議による「感染状況のステージ」の設定が正しかったのか検証することもなく第三波に突入しました。「爆発的な感染拡大」を,指数関数的増加に視点を置くと,まったく違った状況が現れます。第三波の開始を11月5日(新規感染者数1,050人)と仮定すると,二週間後の11月19日は,新規感染者数が2,386人です。ほぼ,二週間に二倍の速度で増加しています(が,放物線で近似してみるとわかりますが,直後に増加が鈍くなり,いったん下降局面に入ります)。y=axの式で考えれば,a=1.049です。12月の後半以降には,ここで第四波と呼ぶ波が現れますが,今年に入っても,指数関数的増加が続く期間の数値はa=1.049で安定しています。

 第一波に比べて,感染力自体は強くなっているので,新規感染者数が増大していますが,「指数関数的増加」に限ってみると,第一波より遅い速度で増加しています。つまり,日本は,オーバーシュートを回避しつつ,今回もまた,新型コロナウイルスに対して依然として優位に戦いを進めているのです。

 

  1. 超過指数から日本の発生状況を見ると

 B/A値を100倍したものを超過指数と呼ぶことにします。日本全体に占める新規発生比率(B)を,日本全体に占める人口比率(A)で割ったものに100を掛けた数字です(小数点以下を四捨五入します)。100は,発生比率が人口比率と同一になる場合で,100を超えれば,人口比率に対して発生比率が大きいことを,逆に,100を下回れば,人口比率に対して発生比率が小さいことを表します。

 超過指数は日々変動しますが,各自治体の置かれた状況(や,防疫・検査体制の強靭さ)を判断することができます。(2)は,本年1月15日における47都道府県の超過指数を一覧にまとめたものです(一部の都府県の後の数字は,人口比率を示す)。

 

(2) 超過指数

                             (80≦早期警戒水域<120     120≦警戒水域<200     200≦危険水域)    

1

  260

東京 (10.8)

13

  79

熊本

23

  45 

長崎

37

  22

大分

 2

  169

神奈川 (7.2)

14

  73

群馬

26

  43

三重

38

  20

青森

 3

  145

千葉  (4.9)

15

  71

佐賀

27

  39

宮城

38

  20

島根

 4

  128

福岡  (4.0)

16

  69

岐阜

28

  33

福島

40

  18

和歌山

 5

  119

埼玉  (5.8)

17

  67

北海道

28

  33

石川

41

  17

高知

 6

  114

大阪  (7.0)

17

  67

福井

28

  33

山梨

42

  16

富山

 7

    96

茨城

17

  67

宮崎

28

  33

岡山

43

  15

鹿児島

 8

    91

兵庫

20

  63

香川

28

  33

広島

44

  13

秋田

 8

    91

沖縄

21

  55

奈良

28

  33

徳島

45

  11

山形

10

    87

栃木

22

  50

長野

34

  27

山口

45

  11

新潟

11

    83

愛知

23

  45

静岡

34

  27

愛媛

47

  10

岩手

12

    81

京都

23

  45

滋賀

36

  25

鳥取

 

 

 

 

 (2)を見ればわかる通り,第三波(以降)は「圧倒的に東京の問題」です。ウイルスは人と共に動くから人の流れを止める必要があるというのであれば,東京を「封鎖」すれば簡単に済む話です。東京に人が一人も入ることがなく,一人も出ることがない状況を完全に実施できれば,東京以外では,時短,夜間や休日・祝日の外出自粛,テレワーク等の要請をしなくても,終息に向かって問題を解決できるはずです。

 もっと正確に言えば,東京から「ウイルスを運び出す人」を正しく検知し,隔離すれば,東京以外は普通の生活に早く戻ることができるはずです。

  東京の突出ぶりは,(3)を見るとさらに一層はっきりとします(1/14は,実数のデータを保存していなかったので計算から省いている)。

 

(3) 東京と「同程度の都市圏」と見立てた場合との比較

              

 

1/15

1/16

 

1/15

1/16

東京   (10.8)

 260

 239

大阪   (13.4)

兵庫

京都

 101

 110

神奈川 (13.0)

埼玉  

 147

 155

千葉   (10.8)

愛知

 111

 109

埼玉   (10.7)

千葉

 130

 145

埼玉   (10.0)

北海道

   97

 110

 

 単に大都市というだけではなく,東京に特有の何らかの事情が感染拡大の決定的な要因になっていると思われます。それを見つけることが東京の感染終息の鍵になるでしょう。手始めに,東京から北海道,愛知,大阪に行くと,東京で見慣れた「場所」があるが,岩手,新潟,鹿児島,高知,和歌山,島根に行くと,それがないか,ないに等しいものを探してみてはどうでしょうか?