現代英語の文法を探求する

英語学とその隣接領域に関する見解を個人の立場で記述しています。

グラフから見える新型コロナウイルス第三波の拡大状況(4)

  1. はじめに

 1月7日~1月9日の数値は,個人的には,参考値であると考えていますが,以下では,検査能力が通常の水準に回復していると仮定して,『第四波』の拡大を予測してみたいと思います。

  1月9日時点の予測では,ピークは1月15日~1月18日で,ピーク時の新規感染者数は,8,340人~8,840人となる可能性があります。

 

(1) 第四波の拡大予測 (1月9日の時点)

 

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    緊急事態宣言発出2週間後の1月21日では,新規感染者数は,8,000人~8,670人,宣言終了予定日の2月7日では,3,600人と予測されます。左右対称の正規分布図をイメージすると,この前後から「裾野」の領域に入るので,減少が鈍化することが予測されます。仮に(1)の予測通りに,状況が推移した場合,宣言は予定通り2月7日で解除し,「戦術」を一新して終息を図るのが賢明であるように思います。

 グラフを基に発生状況を放物線で近似を繰り返すと,12月17日が分岐点と考えられますが,これ以降,12月24日に初めて確認できる波形を,ここでは第四波と呼ぶことにします。

 (1)の二つの高い山のうち,稜線が緩やかな山(青で表示)は,この12月24日と最も勢いのある1月8日を通過するカーブです。比較的急な山(赤で表示)は,当初の第三波Cで「吸収」できない特異点となる12月31日と1月8日を通過するカーブです。前者の青い山は,12月24日に顕在化した震源地東京の「動揺」を,日本が一つの系(a system)として,修復する過程にあると解釈したものです。

 月曜日の「伸びの底」を通過するカーブは,12月21日まではa=2/25で近似できていたのですが,12月28日には,予想を500人ほど上回ってしまいます。この12月28日と1月4日を通過するカーブをa=1/5で予測すると,高い山にやや遅れながらも,1月18日には,震源地の動揺を完全に吸収できる見込みです。

 

  1. 指数関数的増加が止まる

 1月7日~1月9日の数値が信頼でき,防疫・検査体制にcrack (亀裂)が発生していない,かつ,感染力のさらに強い変異株が存在しない,と仮定した場合,確定値ベース(=見た目の増減グラフ)では,1月15日~1月18日以降は,自然減の方向に向かうのではないかと期待されます。

 根拠としては,東京と日本の指数関数的増加がようやく止んだと考えられるからです。

 増加の起点をどこに取るのかという難しい問題がありますが,東京の起点は,グラフ上で検知できる特異点の12月17日を選ぶことにします。東京は二週間で二倍の速度で増加していると仮定すると,この日,東京は882人の新規感染者が出ました。二週間後の12月31日には,1,764人 (実数は1,337人)と予測されます。この1,764人を起点に,1.049を1日毎に掛けていきます(指数関数的増加はy=axで表されますが,二週間で二倍の増加はa=1.049となります)。

  これを表にまとめたのが(2)です(括弧内は確定値-とは言え,過去に遡ると,ときどき,数値が微妙に変化しています)。

 

(2)

1日

2日

3日

4日

5日

6日

7日

8日

9日

1,850人

1,941人

2,036人

2,136人

2,241人

2,350人

2,466人

(2,447)

2,586人

2,713人

 

 実数では,1月7日を境に予測を下回るので,東京もようやく下降局面に入った可能性を想定できます。

 日本全体では,もう一つの特異点である12月24日を基準に考えてみます。この日の新規感染者数は,3,738人です。日本全体でも二週間で二倍の速度で増加していると考えると,二週間後の1月7日は,7,476人 (実数は7,571人)です。同様に,計算した結果を示したのが(3)です(括弧内は『確定値』)。

 

(3)

1日

2日

3日

4日

5日

6日

7日

8日

9日

 

 

 

 

 

 

7,476人

(7,571)

7,842人

(7,882)

8,227人

(7,789)

 

    日本全体で見ても,前提に変化がなければ,増加のスピードが鈍化し始めていると見ることができるので,ピークは間もなく来ると予想できます。

 前回,累積感染者数に占める東京の割合が25.6%であることを見ました。1月7日の東京の2,447人(予測値2,466人)から,日本全体の総数を逆算で推計すると,9,559人(予測値ベースでは,9,633人)です。これは,東京とリアルタイムで連動して変化した場合の数値ですが,すでに東京は下降局面に入っていると仮定して正しい場合,隣接する三県も同様に推移すると考えられるので,1月14日~1月16日の「高い山」の稜線では,この数値を下回っているはずです。仮に(1)の仮説が正しいとすれば,8,340人~8,840人の範囲内に収まっていれば,危機的な状況が最終的に回避されたと推定できます。

 第一波と第二波は,グラフで見ると正規分布を描いています。両端の「裾野」の部分を切り取って,中央の部分をy=-ax2の放物線の波形で,ピークを推定できないかというのが今回の考察の前提にあるideaです。

 台風が近づくときと遠ざかるときとでは,緊張が続きますが,対応は変わります。同様に,新型コロナウイルスのピークを予測できれば,国民も何をどのように行動すればよいのか予見ができるようになるはずです。端的に言えば,危機の中にあっても,安心して[=良識を持って]行動できるはずです。

 二府一県(大阪,京都,兵庫)は,震源地の影響を受けて厳しい状況にあると思います。しかし,二府一道三県(北海道,愛知,大阪,京都,兵庫,福岡)の括りで見ると,1月9日現在,新規感染者数は2,002人で,国内総数(7,789人)に占める割合(B)は26.0% (小数点以下第二位を四捨五入)です。全人口に占める割合(A)は27.6%なので,B/A値は0.9です。

  これに対して,東京は,新規感染者数に占める割合が29%,B/A値は2.7です。一都三県に拡大すると,新規感染者数に占める割合は54.7%,B/A値は1.9になります。

 「非常時」の病床対策に問題があったとは言え,二府一県は非常に苦しい状況の中で,驚嘆的な努力を継続しています。ここで選択を誤れば,緊急事態宣言は一気に全国に波及し,第一波と同じ轍を踏む危険性があります。二府一県には,阪大,京大をはじめ日本を代表する研究機関があります。智慧を結集し,状況を冷静に分析・判断することを切望します。